1年待ちの塩を作る奇才、田野屋塩二郎さんと木毛①

田野屋塩二郎さんのお塩との出会いは、2年前の春でした。

東京在住のいとこへのお土産を買いそびれた私は、いとこのお嫁さんに、どうしても高知の物を送りたい気持ちで、銀座にある高知県アンテナショップ「まるごと高知」を訪れました。

そこで、目に留まったのが、塩二郎さんのお塩です。

100g入りで、1個、1500円以上もする高価なお塩でしたが、その頃から、田野屋塩二郎さんは、高知ではすでに、凄い塩を作る男として有名でしたので、いとこに味わってもらいたい、そして私も1度食してみたいと、自宅用も購入し、高知に持ち帰りました。

「塩二郎」は、高知県東部に位置する田野海岸の海水のみを原材料とし、最初から最後まで一切火力を使わず、太陽の熱と潮風、職人の技だけで仕上げる「完全天日塩」という製法で作られています。
一般的な粒が粗くジャリジャリとした天日塩とは違い、全ての料理に使えるよう砕くことなく細粒に結晶させました。真っ白ではなく、乳白色なのが海水中のミネラルを多く含んでいる証拠。
1~2ヶ月、また天候や季節によってはそれ以上の月日をかけてじっくり作り上げられる「塩二郎」は、甘い・しょっぱい・辛い・すっぱい・苦いのバランスを重視して作られるため、不思議な事に口の中に旨味が残ります。また、舌触りが気にならず、塩ならではのツンとしたしょっぱさがありません。食材の素材そのものの味を見事に引き出してくれる塩なので、白ご飯や冷奴、野菜にかけて味わってみるとその特性に気付くはずです。

高知に帰った私は、塩二郎さんのお塩を、まず、おすましに入れてみました。

美味しい!!

今まで使っていたお塩とは、全然違う美味しさ、まろやかさに私は大変驚きました。

皆様の中にも、調味料にこだわって、色んなお塩を試したことがある方がいらっしゃると思います。

私もその一人で、国産や外国産の各地のお塩を試してみたり、直前に使っていたお塩も、天日塩で、決して悪くはないお塩です。

でも、塩二郎さんのお塩は、それまでのお塩とは明らかに違う、衝撃の美味しさでした。

レストランなどで、美味しい料理に出会った時、その料理からは、作り手の愛情がたくさん感じられます。プロとして、お客様の喜ぶ顔を思い浮かべ、心を込めて、作っていることが分かります。

塩二郎さんのお塩は、まさにそんな感じ。

人生をかけて、魂を込めて作っている、大げさでなく、そんな感動の味でした。

私は困ったなと思いました。

もう他の塩には戻れん。この塩を知ってしまったら他の塩では満足できん。でも高い。

高いけど… もう手放せん。

それからは、高価なこの塩を、恐る恐る、色んな料理に使いました。

何にでも合う、万能の塩。料理の味がワンランク上がりました。

そんな塩二郎生活が続いた、今年の3月、広島県で開催されたビジネスフェアに出店します。

一般の方も参加できる、食品と非食品の合同展示会でしたが、最終日の終盤に、高知県の出店業社の知り合いが挨拶に来てくれ、食品のブースに田野屋塩二郎さんが参加している事を教えてくれます。

私は、美味しい塩のお礼が言いたいと思い、知り合いに紹介してもらう事にしました。

初めてお会いした塩二郎さんの第一印象は、目力半端ない、迫力の雰囲気。

いつも、使わせて頂いていること、初めて食した時の感動を、緊張しながらお伝えしたところ、怖めの外観とはうらはらに、気さくで優しく、お塩のあれこれをご教示して下さいました。

驚いたのは、2000種類以上のオーダー塩を作っているとのこと。

そして、変わったオーダーが来るほど、燃えるとのこと。

だから、変わったオーダーほど嬉しいとのお話しに、今までで一番変わったオーダーをお聞きしてみました。

答えは、ここでは、お伝えできないほどの超超レアなオーダーでした。

私が漏らした一言は

「塩二郎さん、変態ですね」

塩二郎さん

「はい、変態です」(満面の笑顔で)

凄い物を作り出す人はやはり常人ではない。

そのオーダーは捉えようによっては、塩二郎さんのお塩を愚弄するとも取れる内容でした。そんな内容を面白がって引き受け、お客様の要望に応えようとする、本物のプロの姿勢。そして塩は、手を抜かない1級品。

私はまたまた感動しました。

この会話で一挙に距離が縮まった私は、勢いで

「もくめんのお塩を作ってくれませんか?」

と頼んだところ、塩二郎さんは快諾して下さいました。

おー!あの感動の塩と、もくめんが合わさったらどんな塩になるがやろ〜

楽しみや〜!!

私の目はらんらんと輝きを増しておりました。

次回へ続く。

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